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さいかくとかがく

西鶴と科学

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《西鶴と科学(さいかくとかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,913 字 · 20 頁

青空文庫

はほとんど不可能であるということはよく知られたことである。とにかくそういう見方から西鶴の探偵趣味とその方法を観察するのも一興であろう。

例えば殺人罪を犯した浪人の一団の隠れ家の見当をつけるのに、目隠しされてそこへ連れて行かれた医者がその家で聞いたという琵琶の音や、ある特定の日に早朝の街道に聞こえた人通りの声などを手掛りとして、先ず作業仮説を立て、次にそのヴェリフィケーションを遂行して、結局真相をつき止めるという行き方は、科学の方法と一脈の相通ずる所があると云われる。また例えば山伏の橙汁の炙出しと見当をつけてから、それを検証するために検査実験を行って詐術を実証観破するのも同様である。「十夜の半弓」「善悪ふたつの取物」「人の刃物を出しおくれ」などにも同じような筆法が見られる。

また一方で、彼の探偵物には人間の心理の鋭い洞察によって事件の真相を見抜く例も沢山ある。例えば毒殺の嫌疑を受けた十六人の女中が一室に監禁され、明日残らず拷問すると威される、そうして一同新調の絹のかたびらを着せられて幽囚の一夜を過すことになる。そうして翌朝になって銘々の絹帷子を調べ「少しも皺のよらざる女一人有」