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さいかくとかがく

西鶴と科学

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《西鶴と科学(さいかくとかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,913 字 · 20 頁

青空文庫

そんなことを考えていた時にちょうど改造社の『日本文学講座』に何か書けという依頼を受けたので、もし上掲の表題でも宜しければ何か書いてみようということになった。云わば背水陣的な気持で引受けた次第である。そんな訳であるから、この一篇は畢竟思い付くままの随筆であって、もとより論文でもなく、考証ものでもなく、むしろ一種の読後感のようなものに過ぎない。この点あらかじめ読者の諒解を得ておかなければならないのである。

西鶴の人についてもあまりに何事も知らな過ぎるから、この際の参考のためにと思って手近にあった徳富氏著『近世日本国民史、元禄時代』を見ていると、その中に近松と西鶴との比較に関する蘇峰氏の所説があって、その一説に「西鶴のその問題を取扱うや、概して科学者の態度だ。すなわち実験室において、南京兎を注射するごとく、もしくは解剖室において、解剖刀を揮うがごとくであった、云々」というのがあり、また「西鶴は検事でなければ、裁判官だ。しかも近松は往々弁護料を要求せざる、名誉弁護者の役目を、自ら進んで勤めている」というのがある。そうしていろいろの具体的の作品に関して西鶴近松両者の詳細な比較論がしてある。