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みえざるてき
見えざる敵
海野 十三
線上閱讀海野 十三《見えざる敵(みえざるてき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,777 字 · 16 頁
「嘘をつけ。たしかに入っていた」
「なにをいうんだ。それじゃ一体何が入っていたというんだ」
「毛だ。毛が一本入っていた」
「毛だって? はッはッはッ。そうだ、ちぢれた毛が一本入ってたナ。その毛が何だ。毛なんてものは掃くほどあるじゃないか」
「その毛を返せ。あれは世界の宝物なのだ。十萬メートルの高空で採取した珍らしい毛なんだ。それを材料にして調べると、他の遊星の生物のことがよく分るはずなんだ。世界に只一本の毛なんだ。これ、冗談はあとにして、その毛をかえせ」
「この『消身法』の実験装置ととりかえならネ」
「うむ、そんなことはいやだ」と楊博士は首をふった。
「ええい面倒くさい。話はこれだ」と、首領ウルスキーは懐中からピストルを出して、博士の胸もとにつきつけ「折角かえしてやろうというのに、要らなきゃ黄金の環もこっちへ貰って置く。おいワーニャ。お前はその『消身法』の硝子壜を貰ってゆけ」
「へへえ、この気味のわるい硝子壜をですかい」
そのとき卓子の下から濛々と煙がふきだした。
「ほら、博士の奥の手が始まった。早く引きあげないと、またこの前のようにひどい目に遭う、気をつけろ」
首領の怒鳴っているうちに隙があったものか、博士はヒラリと身を翻して、衝立のうしろに逃げこんだ。