輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きく

親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選

山川 方夫

線上閱讀山川 方夫《親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選(きく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 67,486 字 · 144 頁

青空文庫

顔をしかめたまま、ジャンは足早にそこを通り抜けた。

彼は、かつてパリで日本人に聞いたお盆の風習とやらをけんめいに思い出そうとした。たしか、カトルーズ・ジュイエの前後の、まる三日か四日ほどの期間だった気がする。オガラとかを家の前で焚いて、それを迎え火として魂を招くというのだ。そうだ、魂は、オショウリョウサンとも呼ばれていた。あの世からの死者の道中が大変だろうというので、キウリやナスに割箸を刺してそれを馬につくる。盆燈籠というものに火を点じて魂の逗留を示し、やがて送り火を焚いて魂が迷わぬよう、そのかえり道を照してやる。そして翌日、そのナスや燈籠、死者の饗応に使った精進料理や蓮の花や葉のいっさいを、近くの川か海に流してしまうのだという……。

べつに、チョンマゲをつけた人びとを期待していたのではない。また、だれも彼の迎え火を焚かなかったために、地上での時間が今夜かぎりだというのも、仕方がない。……しかし、どこにも話に聞いたそんな風習、盆燈籠の一つさえ見えない。そろそろ送り火を焚いている家があってもいいのに、そんな火も見えない。見えるのは軒なみにはためいている「中元大売り出し」