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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

線上閱讀萩原 朔太郎《詩の原理(しのげんり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 頁

青空文庫

我が国現代の文壇は、実にこうした蒙昧期にある。

さればかかる文壇から、詩が常に虐遇されることは当然である。文壇がむしろ真にレアリズムに徹底して、痛烈なる芸術至上主義に立つならば、すくなくとも日本の詩人は、今少しよき境遇に有り得るだろう。なぜなら芸術の南極と北極とは、その極端のゆえにかえって相通ずるからだ。――芥川龍之介を見よ。彼は文壇に於ける唯一の詩の理解者だった。――自然派以来の我が文壇と文学とは、その芸術的ヒューマニチイを失っていることによって、全然まったく、詩的精神と交渉がないのである。

* 日本人には宗教感や倫理感がないから、したがって真のデカダンやダダイストも無いのである。デカダンやダダイストは、宗教感の線外にいる人物ではなく、同じ一つの線の上で、それと向き合っている反動家である。故に彼等について、その一端を叩けば他の反対が上ってくる。著者の知ってる限り、日本に真のデカダンは一人しかない。生活者の辻潤である。

** 日本の文学者は、詩的精神の喪失を以て老成の証左と考えている。これが西洋流の啓蒙観なら好いけれども――それだったら別の詩的精神が、他の一端で高調されている筈である。