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かたられざるてつがく

語られざる哲学

三木 清

線上閱讀三木 清《語られざる哲学(かたられざるてつがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,023 字 · 42 頁

青空文庫

それ我が来れるは人をその父より、娘をその母より、嫁をその姑より分たんためなり。」悪に対して剛き心はやがて善に対してやさしき心である。私は他人に対して反抗するまえに自分自身に対して反抗しなければならない。自己を否定し破壊し尽してのちにおいて初めて、他人に対して何を始むべきかを知るであろう。私は剛情な子供が我儘を押し通そうとしたとき、賢しい母親に妨げられそれがよくないことであることを諭されて自分で会得したとき、一時に母親の膝に泣き挫れる、その子供の無邪気なそして素直な心をもって大地に涙しながら私の高ぶり反く心を挫さなければならない。そのとき私の片意地はあたかも地平線に群る入道雲が夕立雨に崩れてゆくように崩れてゆくであろう。

私の活動性と反抗性とが私を懐疑から遠ざけている間に、さらに第三のものが私の心に生れて懐疑を退けようとした。そのものは私が幾分かでもまじめになって哲学を研究するようになってから生れたものであって、現に私の心の中で成長しつつあるものである。永遠なるものの存在、それによっての現実の改造の確信、私はそれを一般にこうした形式で現わすことができるかも知れない。