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かたられざるてつがく

語られざる哲学

三木 清

線上閱讀三木 清《語られざる哲学(かたられざるてつがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,023 字 · 42 頁

青空文庫

価値意識の存在、それの経験意識の支配の信頼、それはこうした形に書き換えることもできるであろう。自由とは良心が自然的なる思惟活動、感情活動および意志活動を規定し制御してゆくところに存するものであるとするならば、それは自由の可能の確信という言葉によっても現わされ得るであろう。

文化的価値が自然的価値の中に次第に頭角を現わして行く過程を歴史と名づけるならば、一般に歴史的過程の存在の確信、しかしてそれの最後の完成への絶対の信仰こそ私の懐疑を退けた第三のものである。あるいはもっと通俗的な言葉を用いるならば、良心と理想との存在とそれの現実の規定力との確信が私がいわんとする当のものである。一度この確信が私の心に生れて以来、私は未来へのよき希望を失うことができなかった。たとい論理や経験やがいかほど反対しようとも、私のこの一度生れた信仰は決して破壊されないだけの力をもって私の中に宿っておるように思われる。アリストテレスはいった、驚きから哲学は始ると。またデカルトは考えた、哲学の首途は懐疑であると。しかしながら私自身に関していえば、私は前にいったように決して懐疑的傾向に富んだ男ではなかったし、また人々が自明のこととして学問上許容している事柄に不審を懐くほど鋭い思索力ももっていなかった。