輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ろんごものがたり

論語物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《論語物語(ろんごものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 頁

青空文庫

そして、その間から、うなされるような声さえおりおり聞えて来た。

「先生!」

と、だしぬけに子路のかすれた声が闇にひびいた。

孔子は、永いこと何か默想にふけっていたが、さすがに疲れたらしく、丁度横になろうとするところであった。彼は子路の声をきくと、横になるのをやめて、しずかにその方をふり向いた。すると、子路が云った。

「君子にも行詰るということがありましょうか。」

「行詰る?」

孔子は一寸考えた。しかしすぐおだやかに答えた。

「それは無論君子にだってある。しかし君子は濫れることがない。濫れないところに、おのずからまた道があるのじゃ。これに反して、小人が行詰ると必ず濫れる。濫れればもう道は絶対にない。それが本当の行詰りじゃ。」

その言葉が終るか終らないかに、二三間離れたところにうずくまっていた黒い影が、むっくり起きあがって、少しよろめきながら、孔子のすぐ前までやって来た。子貢である。彼は腰をおろすと、疲れた息をはずませながら、闇をすかして孔子の顔を見つめた。

「おお、子貢か。」

孔子はいかにも情ぶかく声をかけた。しかし子貢は何とも云わなかった。彼は、無作法な口を利かないだけに、心の底では却って、子路以上の不平に燃えていた。