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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《貧民倶楽部(ひんみんくらぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 頁
」
三吉蒼くなりて、「何、死んだと?」「はいさ、お前様、昨日から腹が痢って、正午過に眼を落しました、誰も葬るものがござらぬで、な、お前さん。」と突然三吉の袂を掴みて、
「懸合だ。始末さっせえ。」「滅相なことを謂わあ、飛んでもねえ。こう、これさ離せといえば。」「うんにゃ、離さねえ。どうでも懸合だ。」と武者振着く。
「ええ、死神のような奴、取附かれて堪るものか。」力に任して突飛ばせば、婆々へたばる、三吉遁る、出合頭に一人の美人、(木賃宿のあの人の)宵月の影鮮麗なり。
擦違うて三吉、「や。」と立停まるを、美人は知らずに行過ぎて、件の老婆の家に入れば、何思いけん後をつけて、三吉は戸外に潜みぬ。
「ちょいとお婆様、あの病人はどうしたえ。」と美人が見舞う、その声音に耳を澄して、「いよいよそれじゃ。」と三吉四辻へ引返せば、老婦人は待飽倦み、亭として佇みつつ手にせる蝙蝠傘を打掉るごとに、はっと散りてはまた集る、飯に寄る蠅、群る小児、持余してぞ居られける。
「三吉。どうしたものじゃ余り遅いの。」と御機嫌好からず。三吉頻りに天窓を掻きて「へい、どうもお待遠様、誠に相済みません、しかし、御前様やっとのことで知れました。