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あかいさかなとこども

赤い魚と子供

小川 未明

線上閱讀小川 未明《赤い魚と子供(あかいさかなとこども)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,559 字 · 6 頁

青空文庫

」と聞きました。

母親は、思案顔をして、子供らを見守りながら、

「昔から、花を食べてはいけないといわれています。あれを食べると、体に変わりができるということです。食べるなというものは、なんでも食べないほうがいいのです。」といいました。

「あんなにきれいな花を、なぜ食べてはいけないのだろう。」と、一ぴきの子供の魚は、頭をかしげました。

「あの花が、この水の上に、みんな落ちてきたら、どんなにきれいだろう。」と、ほかの一ぴきは目を輝かしながらいいました。

そして、子供らは、毎日、水の面を見上げて、花の散る日をたのしみにして待っていました。ひとり、母親だけは、子供らが自分のいましめをきかないのを心配していました。

「どうか、花を私の知らぬまに食べてくれぬといいけれど。」と、独り言をしていました。

木々の咲いた花には、朝から、晩になるまで、ちょうや、はちがきてにぎやかでありましたが、日がたつにつれて、花は開ききってしまいました。そして、ある日のこと、ひとしきり風が吹いたときに、花はこぼれるように水の面にちりかかったのであります。

「ああ、花が降ってきた。」と、川の中の魚は、みんな大騒ぎをしました。