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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《赤ひげ診療譚(あかひげしんりょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,351 字 · 43 頁
――こいつはおかしい。
藤吉はそう気づいたから、頭梁に話して少し休ませることにした。するとこんどは長屋の差配が苦情を云って来た。べつに乱暴はしないが、ようすがおかしいので相長屋の者たちが気味わるがって困る。なんとかならないものかというのである。猪之は品川の漁師の三男で、実家にはまだ父親がいるし、兄が一人と妹が二人いた。親子きょうだいの縁がうすいとでもいうのか、何年にも往き来をしないけれども、親子には違いないのだから、品川のほうへ引取らせたらどうか、と藤吉が云った。ところが、それを聞いていたおちよが、「それは可哀そうだ」と反対した。
――そんな縁のうすい親許へいったって、劬ってくれるかどうかもわからない。
猪之さんはあんなにおまえを頼りにしているし、実の親きょうだいよりも慕っているようだ。うちにはまだ子供もいないことだし、いっそうちへ引取ってあげるほうがいいでしょう。おちよが熱心にそう云うので、正月中旬に佐久間町へ引取った。
それから約半年、医者に診せたり、いろいろと薬をのませたり、祈祷や呪禁までやってみたが、少しもよくならない。尤も、ひどく悪化するのでもなかった。