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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《赤ひげ診療譚(あかひげしんりょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,384 字 · 41 頁
ないようなことも稀ではなかった。
津川玄三が去ってからまもないころ、登は森半太夫に呼ばれて、入所患者の手当をしたことが三度ばかりあった。呼ばれたので病室までは森といっしょにいったが、登は見ているだけでなにもしなかった。半太夫もしいて手伝えとは云わなかったが、三度めのときだったろう、手当をすませて病室を出ると、登を廊下でひきとめて、どういうつもりかと、呼吸を荒くして問いかけた。
「どういうつもりなんです」と半太夫は登を睨みつけた、「いつまでそんなことを続けているつもりなんですか」
「そんなこととはなんです」
「そのつまらない反抗ですよ」と半太夫が云った、「人の気をひくような、そんな愚かしい反抗をいつまで続けるんです、そのために誰かが同情したり、新出先生があやまったりするとでも思うんですか」
登は怒りのために声が出なかった。
「よく考えてごらんなさい」と半太夫はひそめた声で云った、「損をするのは誰でもない、保本さん自身ですよ」
登は半太夫を殴りたかった。
森半太夫が去定に心酔していることは、登にも早くから見当がついていた。彼は相模在の豪農の二男だと、津川から聞いたことがある。