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あかさかじょうのからくり
赤坂城の謀略
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《赤坂城の謀略(あかさかじょうのからくり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,661 字 · 16 頁
と云ったが、湯浅定仏は、何んとない苦笑を頬に浮かべた。
「まこと君にはその後間もなく、赤坂城を復されましてござりまする」
「わしが火をかけて脱け出した城を、其方よく修理してくれたのう」
「…………」
定仏は黙ってまた苦笑した。
それに相違ないからであった。
正成が赤坂城を捨てて出た後へ、六波羅の命で入城し、城を修理して籠もったのは、たしかに湯浅定仏だったのであった。
が、その定仏は正成に攻められ、他愛なく城は乗っ取られ、本人はこのように降将として、正成に仕えているのであった。
苦笑せざるを得ないではないか。
「過去を探り現在を識り、未来を察して世を渡らば、人間間違いはないものじゃ」こう正成は訓えるように云った。
「武人にとっては合戦こそは、立派な世渡りの術だからのう。未来を察してかからねばならぬよ。……明日天王寺へ帰ったなら、何を置いてもお寺へ参り、未来記を拝見するつもりじゃ」
この夜も山々谷々に、そうして津々浦々一円に、正成の焚かせている篝火が、妖しく凄く燃えていた。
五
正成の予言は的中し、翌朝公綱は陣を撤し、京都をさして帰って行き、代って正成が天王寺へ這入った。