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ちょうじんひげのはかせ
超人鬚野博士
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《超人鬚野博士(ちょうじんひげのはかせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 59,054 字 · 117 頁
「何だ……吾輩に用があるのか」
「……エ……あの。ちょっとお願いしたい事が御座いますの」
と云ううちに、しなやかな身体をくねくねという恰好にくねらせた。しきりに顔を真赤にして自分の指をオモチャにしている。
「……ハハア。犬が欲しいんか」
まさかと思って冷やかし半分に、そう云ってみたのであったが、案外にもお合羽さんが、如何にも簡単にうなずいた。
「ええ……そうなんですの」
「ほオ――オ。お前が動物実験をやるチウのか」
「……アラ……そうじゃないんですの……」
「ふむ。どんな犬が欲しい」
「それが……あの。たった一匹欲しい犬があるんですの」
「ふむ。どんな種類の……」
「フォックス・テリヤなんですの。世界中に一匹しか居ない」
「ウワア。むずかしい註文じゃないか」
「ええ。ですからお願いするんですの」
「ふうん。どういうわけで、そんなむずかしい仕事を吾輩に……」
「それにはあの……ちょっとコミ入った事情がありますの。ちょっとコチラへお這入りになって……」
と云ううちにイヨイヨ真赤になった。今度は平仮名の「く」の字から「し」の字に変った。打棄っておくと伊呂波四十八文字を、みんな書きそうな形勢になって来たのには、持って生れたブッキラ棒の吾輩も負けちゃったね。