輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

えちごのふゆ

越後の冬

小川 未明

線上閱讀小川 未明《越後の冬(えちごのふゆ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,272 字 · 15 頁

青空文庫

囲炉裏の火は全く消えて、鉄瓶の湯も水に返ったらしい。僅かに差し込む窓の明りが、其処に投げ出されていた笛と小刀とを照らして、小刀の刃が白く光って見えた。

太吉は笛を見ると、急に昼前、まだあの笛の孔を明けぬ前は母がいたのだと思った。母が今帰ってくれれば、この笛は昔の孔の明かぬ前になったからとて惜しくない。斯様笛はいらぬから、どうか母が帰ってくればいいにと地踏踏んだ。

太吉は小さな草鞋を穿いた。菅笠を取って戸を閉めると一目散に駆け出した。

「町へお母を迎いに行って来る――。」

こう独り言をいうと、急に胸が塞って、熱い涙がぱらぱらと湧いた。太吉は心のうちでこう叫んだ。

「お母に遇ったら、ウンと恨んでやろう! お母に遇ったらウンと泣いて小言をいってやろう!」

夢中になって一目散に峠を走って、村に下りると、急に他の人の顔が目に付いた。

けれど胸が張り切って、知った人に遇っても物を言うのが厭であった。

成丈け人の顔を見ないようにと走って、いつしか水車場の脇も通り越した時分、

高田へ行かしたか? 直江津へ行かしたか?……と惑った。

太吉の歩みは遅くなった。

「直江津へ行かしたんだろう? どれ、聞いて見よう……。