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おどるいっすんぼうし
踊る一寸法師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《踊る一寸法師(おどるいっすんぼうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,734 字 · 16 頁
それが紅のとき汁だなどとは、誰にも考えられなかった。
氷の様に冷いものが私の背中を伝って、スーッと頭のてっぺんまで駈け上った。私は、そのテーブルの下には二枚の鏡が直角にはりつめてあって、その背後に、床下の抜け道をくぐって来た、お花の胴体があることを知っていた。こんなものは大して珍しい手品ではなかった。それにも拘らず、私のこの恐しい予感はどうしたものであろう、それは、いつもの柔和な手品使と違って、あの不具者の、不気味な容貌の為であろうか。
まっ黒な背景の中に、緋の衣の様な、真赤な道化服を着た一寸法師が、大の字に立ちはだかっていた。その足許には血糊のついたダンビラが転っていた。彼は見物達の方を向いて、声のない、顔一杯の笑いを笑っていた。……だが、あの幽な物音は一体何であろう。それは若しや、真白にむき出した、不具者の歯と歯がカチ合う音ではないだろうか。
見物達は、依然として鳴りをひそめていた。そして、お互が、まるで恐いものでも見る様に、お互の顔をぬすみ見ていた。やがて、例の紫繻子がヌックと立上った。そして、テーブル目がけて、ツカツカと二三歩進んだ。流石にじっとしていられなかったのだ。