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おどるいっすんぼうし
踊る一寸法師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《踊る一寸法師(おどるいっすんぼうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,734 字 · 16 頁
「御免よ、御免よ」
三十面の一寸法師は、小学生の様に、真剣に逃げ廻っていた。彼は、紫繻子にとっつかまって、酒樽の中へ首を押しつけられるのが、どんなにか恐しかったのであろう。
その光景は、不思議にも私にカルメンの殺し場を思出させた、闘牛場から聞えて来る、狂暴な音楽と喊声につれて、追いつ追われつしている、ホセとカルメン、どうした訳か、多分服装のせいであったろう、私はそれを聯想した。一寸法師は真赤な道化役の衣裳をつけていた。それを、肉襦袢の紫繻子が追っかけるのだ。三味線と鉦と鼓と拍子木が、そして、やけくそな三曲万歳が、それを囃し立てるのだ。
「サア、とっつかまえたぞ、こん畜生」
遂に紫繻子が喊声を上げた。可哀相な緑さんは、彼の巖乗な両手の中で、青くなってふるえていた。
「どいた、どいた」
彼はもがく一寸法師を頭の上にさし上げて、こちらへやって来た。皆は歌うのを止めて、その方を見た。二人の荒々しい鼻息が聞えた。
アッと思う間に、真逆様につり下げられた一寸法師の頭が、ザブッと酒樽の中に漬った。緑さんの短い両手が、空に藻がいた。パチャパチャと酒のしぶきが飛び散った。