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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
線上閱讀谷 譲次《踊る地平線(上)(おどるちへいせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 168,926 字 · 332 頁
つまり、よく五十年も我慢した、両方とも豪い! というんで、国家的勇士としての栄誉と待遇をあたえるわけなんだろう。これを目的にして国じゅうの「われなべにとじぶた」が鍋も蓋もじっとして、あんまり「自由」を求めたり急に「自由意識にめざめ」たりしないとすれば、人間オスカア二世は、仲なかどうして世話なおやじだったと言われなければならない。
塔をおり、木の下路のうすやみをくぐってスカンセンを出る。ある日、ぶらぶら町を歩いている。
と、突然歩道に立ちどまった彼女が眼を円くして言った。
『あらっ! おみおつけのにおいがする!』
とこれはじつに容易ならぬ発表である。私は思わず急きこんだ。
『え? ほんとうかい――。』
が、ひるがえって常識に叩くに、このストックホルム市の真ん中にぷうんとお味噌の香がするということは首肯出来ない。しかし、この彼女の一言は俄かに私たちふたりを駆って発作的ノスタルジアの底に突き落すに充分だった。それによって私は、北の都の中央にあって豆腐のらっぱを聞き、夕刊配達の鉢巻きを見、そうして日本の「たそがれ」を思ったからだ。あまりの表情のない石と鉄と機械の生活――自然はすべて西洋の世界を見すてている――なんかと、そんな述懐はあとまわしにして、そこで私は考えたのである。