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じじょにかえて
近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎
蔵原 伸二郎
線上閱讀蔵原 伸二郎《近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎(じじょにかえて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,296 字 · 17 頁
五月の雉
ひよどり
分校に行く道
五月の雉
風の旅びとがこつそり尾根道を通る
ここはしずかな山の斜面
一匹の雌きじが 卵を抱いている
青いハンカチのように
夕明かりの中を よぎる蝶
谷間をくだる せせらぎの音
ふきやもぐさの匂いが
天に匂う
(どこからも鉄砲の音などきこえはしない)
一番高い山の端に陽がおちる
乳いろのもやが谷々からのぼつてくる
やがて、うす化粧した娘のような新月が
もやの中からゆつくりと顔を出す
――今晩は、きじのおばさん――
平和な時間がすぎてゆく
きじの腹の下で最初の卵がかえる
月かげにぬれてひよこがよろめく
親きじがやさしくそれをひきよせる
(どこからも鉄砲の音などきこえはしない)
ひよどり
がつこうの かえりみちだよ
ピーヨ
ピーヨ
ひよどりが ないているよ
大きな竹やぶから
青い空が すんでみえるよ
みよちやんと ぼくが
ひよどりの まねをしたら
こんどは ひよどりが
ぼくらの まねをしているよ
ピーヨ
ピーヨ
なんてんのみが まつかだよ
分校に行く道
そこにはいつも
新しい太陽が立ちどまつている
秋の山みち
そこでは
すすきが雲に呼びかけ
音もなく赤土の崖がくずれ
風が石ころをころがしている道
この道は
岩山をいくつも越えてゆく道
太陽がしばらく立ちどまつて