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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《近藤勇と科学(こんどういさみとかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 頁
若衆は、錆槍だの、棒だのをもって、役所の表に立った。太鼓が万一の為に用意されて、近藤の家の軒に釣るされた。百姓は、大砲の荷をなでながら
「これが、大筒ちゅうて、どんと打つと、二町も、でけえ丸が飛出すんだ」
と、包んである藁筒の隙から、砲先をのぞき込んでいた。
金千代と、竜作とは、接待に出た酌婦へ、江戸の流行唄を教え乍ら、酒をのんでいた。
甲州街道に、
松の木植えて
何をまつまつ
便より待つ
「あんちゅう、いい声だんべえ。この御侍は、よう」
と、酌婦は、金千代に凭れかかった。金千代は、左手で、女の肩を抱いて
「今度は、上方の流行唄だ」
宮さん宮さん
御馬の前で
ひらひらするのは何んじゃいな。
「誰だ」
隣りの部屋から、怒鳴った。金千代が、黙ると
「怪しからんものを唄う。朝敵とは、何んじゃ」
会津兵が、襖を開けて
「これっ」
金千代は、御叩頭して
「仕舞いまで唄を聞かんといかん」
あれは、芋兵を
征伐せよとの
葵の御紋じゃ無いかいな
「たわけっ」
と、云って、会津兵が引込んだ。酌婦が、その後姿へ、歯を剥出した。
「御前今夜、どうじゃ」
酌婦は手を握り返して
「俺らも、甲府まで、くっついて行くべえかのう」