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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《近藤勇と科学(こんどういさみとかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 頁
「あっ、敵が、敵が――」
一人が叫んで、立上った。兵の首が、一斉に、その方を振向いた。山の側面に、ちらちら敵の白襷が見えて、ぽつぽつと、白煙が立ち、小さい音がした。近藤は前には立木があるが、後方に援護物が無いと思うと
「退却っ、あすこまで――」
と、叫んで、一番に走り出した。ぴゅーんと、音がすると、一寸首をすくめた。
八
「出たら、撃たれるったら」
金千代が竜作の頭を押えた。
「然し、誰も撃たれてやしない」
「そりゃ、引込んでいるからだ」
「近づかないで、戦争するなんて、戦争じゃない。薩長の奴らは、命が惜しいもんだから、なるべく、近寄らずに威嚇かそうとしている、彼等――」
と、云った時、昨夜、総がかりで作った関門に、煙が立って、炸裂した音が轟くと、門は傾いて、片方の柱が半分無くなっていた。人々は
「あっ」
と、叫んで、半分起上りかけた。初めて、大砲の恐ろしい威力を見、自分らが十人で、百人を支えうると感じた所が、眼に見えない力で、へし折られたのを見ると、すぐ次の瞬間、自分らの命も、もっともろく、消えるだろうと思った。
「退却」
という声が聞えた。
「退却、金千代っ」