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ちかごろのかんそう

近頃の感想

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《近頃の感想(ちかごろのかんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,874 字 · 12 頁

青空文庫

のである。

歴史はいたずらに反覆するものでないから、今再び若い批評家の間に、唯物弁証法をたてまえとしようとして図式主義におちいった批評の要求が現れたとしたら、それには又、私が経験した時代と異った社会的要因がなければなるまい。時間にすれば、わずかに二年足らずの間であるが、今私たちの前には社会主義リアリズムの実践の課題が提起され、社会の情勢も二十一二ヵ月以前のままではないのである。かつてのように批評沈黙時代ではなく、今はむしろ、ある作品についても各人各様の批評が活溌におこなわれている。プロレタリア作家とブルジョア作家との本質的なちがいがぼやけて、リアリズムの解釈にもある種の混乱が認められるのが、今日の現実なのである。

プロレタリア文学に結ばれている者の間に、戸坂氏の書かれたように文学批評とは別に、それを批評するもっと客観的な「本当の批評」の出現を待望するのでなく、文学批評そのものに、新たな、発展的な客観性の確立を求める気分の醸成されていることは、見のがせないことである。その新しい動力となり得る気分を理解し、作品活動の中に正当に導き出して行くことこそ、「現実そのものから現実を描き」