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れんかんき
連環記
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《連環記(れんかんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,281 字 · 95 頁
坊ちゃん挙周はお蔭で何程好い男になっていたか知れない。其歌は今に明らかに残っているから、嘘でも何でもない。ところが相手の女もまだ若くて、中々赤染右衛門の代作の手はしの利いている歌に返歌は出来なかったが、幸に其の姉分に和泉式部という偉い女歌人があったから、それに頼んで答をして貰った。和泉式部の代作の恋の歌も今確存しているのである。双方手だれのくせものであるから、何の事は無い恋愛弁理士同士の雄弁巧説、うるわしかりける次第なりと云った形で、斯様いうことのつづきの末が、高ノ武蔵守師直という厭なじじいが、卜部の兼好という生ぐさ坊主に艶書の注文をしたなどという談を生ずるに至っているのである。小倉百人一首に載っている、赤染右衛門、やすらはで寝なましものを小夜ふけて傾くまでの月をみしかな、は実に好い歌であるが、あれも右衛門自身の情から出た歌では無くて、人に代って其時の情状を写実に詠んだものである。恐れ入った妙作で、綿々たる情緒、傾くまでの月を見しかな、と彼の様に「かな」の二字のピンと響く「かな」は今に至るまで百千万度も使われたかなの中にも滅多には無い。あのような歌をよこされては、男子たるもの蜘蛛の糸に絡められた蜻のようになって了って、それこそカナ縛りにされたことだったろう。