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どうとくのかんねん
道徳の観念
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《道徳の観念(どうとくのかんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,388 字 · 140 頁
とに角道徳界と法律界との限界は判然としているように見るのが、常識である。
経済領域と道徳領域との区分も亦、常識的には一応判然としている。物質への興味と精神への興味とは相容れない裏表であると考えられている。カエサルのものはカエサルへ、神のものは神へ、と云うのである。史的唯物論は生産関係によって経済関係乃至社会関係を説明するのであるが、道徳も亦この生産関係から終局的に説明される。それはすでに云ったことだが、その場合にも依然として経済関係(乃至社会関係)と道徳との常識的限界を利用している。と同じに道徳と政治との限界さえが常識を利用して設定されている。尤もこの常識を利用したからと云って、この理論自身が常識を仮定しているということにもならず、ましてこの理論が常識的だということにもなるのではないが、にも拘らずここで常識的限界が利用されているという事実は今大切だ。
史的唯物論を模倣した一例はF・シュタウディンガーの著書『道徳の経済的基礎』(岩波文庫版)である。之によると経済が道徳を決定するというのであるが、処がこの道徳なるものは、要するに単に社会秩序乃至社会機構のことに他ならないのである。