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どうひょう

道標

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《道標(どうひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 頁

青空文庫

全体としてそんなことを思う自分がいやなのだった。

伸子は、

「フランシーヌ、ごめんなさい」

そう云って、テーブルから立った。

「わたしの猿が呼んでいるの。わたしは行ってつれて来なければならないわ」

ヴェルサイユ門のところで、四十分後に皆とおち会うことにして、伸子は、モンソー・エ・トカヴィユへタクシーを走らせた。風のようにホテルの表ドアをあけて入って、鍵をかりて、伸子は七階の屋根裏部屋へのぼって行った。衣裳棚をあけた。居た。白い猿は無事にまだそこにいた。

「猿さん!」

伸子は白い猿をトウィードの秋外套の胸に抱きとって一分ばかりそこのディヴァン・ベッドに腰をおろしていた。猿さん! 声に出してそう呼んだとき、伸子の心につよく素子の存在が感じられた。白い猿は、おこった眼をしているようだった。伸子は、なだめるように白い猿の、長くて真白い毛なみをなでた。おととい、佐々の一行が北停車場からモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ立ってゆくとき、伸子はつや子に水色繻子で縫った袋を一つことづけた。伸子は、あわただしいペレールの家の客間で、ひまを見ては素子のためにその袋を縫った。