輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《道標(どうひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 頁

青空文庫

二月にもおおぜいの人々がとらえられた。街では市電の男女従業員が催涙弾でうち倒されている日本。佐々のうちを、徐々に、徐々に崩壊させながら、日本の歴史は佐々のものたちの知らない軸の上で、動いている。

その動いている歴史の、あのこと、このこと、いっさいの細かいいきさつの何について伸子は知っていると云えるだろう。――急速に旋回しながら伸子の考えはある一点に舞いおりて、そこにとどまった。そこには、ヴェルダンの秋の叢に光っていた円い金色の輪がある。伸子がそこを歩いているとき失神したパンシオン・ソモロフの、黒と白の石だたみ廊下がある。死んだ保の思い出がある。悲しみに耐えてふるえている浅野蕗子の、清らかな小さい赤い唇があり、彼女の弟も、日本の苦しみの中で命を絶った。わたくしは彼のためによい姉ではなかったと思います。――

たたみかかる思いの切なさで、伸子は頭をあげ、息の通りを楽にしようとするように白いなめらかな喉をのばした。伸子はそっとデスクの前を立って、部屋の外へ出て行った。

伸子の全存在が、苦しい疑問符だった。例の翻訳をしていること、文章の中で変化する前の原体――それで辞書をひかなければならないのに、その原体のわからない言葉がよく出て来た。