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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
安心したまえ。おれは顔を見られたくないんだ。だから、こんな姿で、やって来たんだ。きみをおどかすつもりじゃないよ。」
カブトムシの、大きなツノの下のみにくい口の中から、その声が聞こえてくるのです。中に人間がはいっていることはいうまでもありません。
高橋さんも、それをきくと、おちつきをとりかえしました。
「賢二は? 賢二はどこにいるんだ。」
「よく見たまえ。おれのうしろの部屋のすみっこにいる。泣き声をたてられると、うるさいから、さるぐつわがはめてある。きみにひきわたすまでは、このままにしておくよ。」
ローソクの光があわいので、いままで気づかなかったのですが、いわれてみると、部屋のすみに、小さい姿が、うずくまっていました。賢二君はかわいそうに、うしろ手にしばられて、てぬぐいで、しっかり口のへんをしばられています。さっきから、おとうさんの姿を見ていたのでしょうが、立ちあがることも、声を出すこともできないのです。たった一日のあいだに、なんだか、ひどくやせたように見えます。
「さあ、ここに、やくそくの一千万円をもってきた。これをやるから、はやく、賢二の縄をといてくれ。