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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

「おやっ、これはなんだろう。」

ひとりの刑事が、地下室の床においてある、一つのふろしきづつみを指さしました。

それをきくと、うしろの方にいた高橋さんが、賢二君の手をひいて、そこへ出てきました。

「あっ、これは賢二とひきかえに、あいつにやった一千万円の札たばです。」

と、ふろしきの中をしらべてみましたが、

「たしかに、わたしの持ってきたまま、そっくりのこっています。あいつは、かんじんのお金をわすれて、にげだしたのでしょうか。これはいったい、どうしたわけでしょう。」

高橋さんは気味わるそうに、あたりを見まわすのでした。刑事たちも、いよいよわけがわからなくなって、だまって立ちすくんでいました。

そのときです。とつぜん、どこからか変な笑い声がひびいてきました。

「アハハハ……、高橋さん、きみがわるいのだよ。やくそくにそむいて、刑事なんか、つれてくるからさ。おれの方では、こんなこともあろうかと、ちゃんと用意をしていたんだ。もう金はほしくない。そのかわり、賢二君を遠くへつれていくのだ。山の中の鉄塔王国へつれていくのだ。……それじゃあ、あばよ。」

そして、ふしぎな声は、パッタリととだえてしまいました。