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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

山小屋のぬし

小林君は、よろこびいさんで、自動車の運転台にとびのり、出発しようとしましたが、そのとき、ふと、あることに気づいて、ギョッとしました。胸をドキドキさせながら、ガソリンのメーターをしらべました。

ああ、やっぱりそうでした。怪人たちがのんきらしく自動車をすてておいたのには、わけがあったのです。

ガソリンがなくなっていたのです。この分量では、二キロも走れば動かなくなってしまいます。

こんな山の中に、ガソリンスタンドがあるはずはなく、ガソリンが手にはいらなければ、自動車は動かないのです。こんなところへほうりだしておいても、ぬすまれる心配はすこしもなかったのです。怪人たちが、つぎに出発するときには、城の中から、ガソリンをはこんでくるのでしょう。

小林君はガッカリして、運転台にすわりこんだまま、しばらくは、からだを動かす気にもなれませんでした。

山小屋のぬし

それから、小林君は自動車をおりて、そこにぼんやりとつったったまま、あたりをながめていましたが、ふと気がつくと、遠くの方に、モヤモヤと動いているものがあるのです。おやっとおもって、よくみますと、それは白い、ひとすじの煙でした。