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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

カブトムシ大王

小林君のまっ黒なこびとのような姿は、その絹ひもをつたわって、スルスルと鉄のへいをのぼり、たちまち、頂上にたどりつきました。そして、かぎをかけかえて絹ひもをへいの内がわにたらし、また、それをつたって城内の地面におりたち、たくみにひもをあやつって、へいの上のかぎをはずすと、それを手もとにたぐりよせ、小さくまるめて、腰のバンドの中へおしこみました。十メートルもある絹ひもですが、まるめると、ひとにぎりになってしまうのです。

城の中はまっ暗で、シーンとしずまりかえっています。しばらくあたりを見まわしていますと、ずっとむこうの方に、ぼんやりと四角な赤っぽい光が見えました。建物の窓の中に、あかりがついているらしいのです。小林君は、足音をしのばせて、その方に近づいていきました。

カブトムシ大王

城の中には、大きな建物が、まっ黒な怪物のようにそびえていましたが、近よってみると、それは大きな石をつみかさねてつくった石の建物でした。

光のさしていた窓の戸は、ひらいたままです。城のまわりに、あんな高い鉄のへいがめぐらしてあるので、中の建物は、しまりをするひつようもないのでしょう。