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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

「待つんだよ。」

「え、待つって?」

「こんばんか、おそくても、あすの朝までに、おもしろいことが、おこるんだ。それまでの、しんぼうだよ。……ごらん、空がまっさおに、よく晴れているじゃないか。歌でもうたおうよ。」

小林君は、のんきなことをいって、なにか歌をうたいはじめました。

それから、日がくれるまで、じつに長い長い一日でした。歌をうたったり、なぞなぞのあてっこをしたり、しまいには、賢二君の学科のおさらいまでして、気をひきたてようとしましたが、そのうちに、ふたりとも、おなかがへってきました。そして、日のくれるじぶんには、ものをいう元気もなくなって、鉄のてすりによりかかり、足をなげだしたまま、グッタリとなっていました。

もう、あたりはまっ暗です。遠くのほうから、もののきしるような音、うなり声のようなものが聞こえてきます。山にすんでいる鳥やけだものの、なき声です。

小林君は、てすりにもたれながら、からだをねじまげるようにして、まっ暗な森の中を、あちらこちらと、注意ぶかく見まわしていました。なにか、こころ待ちにしているようすです。

そうしてまた何時間かが、すぎさりました。