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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

怪物のゆくえ

それから、もっとおそろしいことがおこりました。ガラス窓が、ジリジリと、下から上へひらきはじめたのです。怪物が外から、おしあげ窓をひらいているのです。

それでも、賢吉君は、まだにげる力がありません。まるで、いすにしばりつけられたように、まったくからだが動かないのです。そして、目は怪物の方にひきつけられ、見まいとしても、その方からそらすことができないのです。

窓はすこしずつ、すこしずつ、上の方へひらいていきました。そして四十センチほどひらいたとき、怪物の顔がニューッと窓の中へはいって来ました。ふたつの目は青いほのおのようにもえています。頭の上には、気味のわるいトサカのようなものが、するどくつっ立っています。それから口が……。

その耳までさけた口が、キューッと三日月形にひらいて、

「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ……。」

と笑ったのです。鉄と鉄がすれるような、おそろしい音をたてて、笑ったのです。

怪物のゆくえ

賢吉君は、おもわず「ワーッ。」とさけんで、いすから立ちあがり、ドアの方へにげようとしましたがそのとき、頭がフラフラして、目の前がスーッと暗くなり、そのまま気をうしなって、たおれてしまいました。