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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

」

警官のひとりが、さすがに気味わるそうに、目の前のマンホールのふたを見ました。

「よし、それじゃ、しらべてみよう。手をかしたまえ、そして、きみはピストルを出してかまえていてくれ。危険と見たらぶっぱなすんだ。」

三人の中でせんぱいらしい警官が、そういって懐中電灯をつけると、マンホールのふたのそばにしゃがみこみました。もうひとりの警官が、それに手をかします。のこるひとりは、腰のサックからピストルをぬきだして、いざといえば、発射する身がまえをしました。

「そら、いいか。」

ふたりの警官が力をあわせて、マンホールの鉄のふたをひらいて、わきにのけました。穴の中は、まっ暗です。懐中電灯の光が、さっとそこをてらしました。

その中に、鉄のウロコの怪物が、うずくまっていたのでしょうか。いや、そうではありません。中はからっぽだったのです。警官たちは、ひょうしぬけしてしまいました。

「なあんだ。なんにもいないじゃないか。」

それは下水のマンホールでしたが、ほそい下水道ですから、そこから下水をつたってにげることはとてもできません。

怪物は、いちじマンホールの中へかくれて、それからまた、にげだしたのでしょう。