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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

男は、ゆめでも見ているような、へんな気持になりました。賢吉少年がふたりになったのです。ひとりはかぎのかかったこうしの中にうずくまっている。ひとりは、洞窟の中を、自由じざいにかけまわっている。こんなふしぎなことはありません。男はなんだか、気味がわるくなってきました。そこで、その男は、いきなり、黒ふくめんの首領の部屋へかけこんで、ことのしだいをつげますと、首領は、みんなで、かぎを持っているジャックを、さがすように命令しました。

しかし、賊の手下たちが手わけをして、三十分ほども洞窟の中をさがしまわっても、きみょうな子どもも、ジャックも、どうしても、みつからないのでした。

その捜索がむだにおわって、また三十分もたったころでした。ひとりの手下が、首領の部屋にかけこんできて、あわただしく報告しました。

「首領、きました、きました。賢吉のかかりのジャックのやつが、どこからか、ヒョッコリ帰ってきました。いまここへやってきます。」

ジャックというのは、ろうごくのこうしのかぎを持っている男のあだなです。

その報告が、おわるかおわらないうちに、首領の部屋の入口へ、ジャックがスーッと、姿をあらわしました。