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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
あれだけの大きな虫が、もし部屋の中にいるとすれば、なにか音がするはずです。それが、シーンとしずまりかえっているのをみると、怪物はもう、部屋から廊下のほうへ、出ていったのかもしれません。
広田は、おずおずとスイッチのところへ近よって、パッと電灯をつけました。やっぱり、部屋の中にはなにもいません。怪物は、廊下に出てしまったのです。
「たいへんです。だれか来てください。カブトムシが、カブトムシが……。」
広田は、おもいきりどなっておいて、死にものぐるいの勇気をだして、廊下へ、とびだしていきました。
廊下には電灯がついているので、一目でわかります。左は行きどまりですから、右のほうを見ればよいのですが、長い廊下には、なにもいません。廊下のむこうには、居間や茶の間や寝室があるのですが、広田のどなり声に、そのほうから、主人の高橋さんが、びっくりして、廊下へ、かけだしてきました。そのうしろに、おくさんや女中さんの姿も見えました。寝ていた壮一、賢二の兄弟もねまきのまま、外へ、とびだしてきました。
「広田、どうしたんだ。なにごとだ。」
高橋さんが、大声で、たずねました。