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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

「書斎の窓には、こうしがはまっている。もし、ここへはいったとすれば、袋のネズミだ。」

高橋さんはそういって、広田に目くばせをしました。ドアをあけてみよといういみです。

広田は、ドアのそばに近よりました。しかし、それをひらくのには、よほどの勇気がいります。かれは、そこに立ちすくんだまま、しばらく、ためらっていました。

すると、そのとき、そのドアが、ひとりでに、すこしずつ、ひらきはじめたではありませんか。中から、ひらいているのです。

それを見ると、人びとは、ギョッとして、あとじさりをしました。あのおそろしい妖虫が、まがった足で、ドアをひらいて、みんなの前に、とびだしてくるのだと思ったからです。

ドアは、みるみる大きくひらいていきました。中はまっ暗です。そのやみの中から、ヌーッと出てきたのは、おばけカブトムシではなくて、意外にも、もうひとりの書生の青木青年でした。

「アッ、青木君か。カブトムシを見なかったか。」

高橋さんが、しかりつけるように、いいました。

「いいえ、この部屋にはなにもいません。」

「きみは、まっ暗な書斎で、なにをしていたんだ。」

「本だなの本をおかりしに、はいったのです。