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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《銅銭会事変 短編(どうせんかいじへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 頁

青空文庫

済んだのよ。お妾に行かなくってもいいのだわ」するとあの人おっしゃるかも知れない。「お色、大変気の毒だが、おれには他に情婦が出来たよ」……厭だわねえ、困っちまうわ。彼女は本当に困ったように部屋の中をウロウロ見た。「おやこの部屋は四畳半だわ」毎々通る部屋だのに、彼女は初めて気が附いたらしい。「ああでもないと四畳半! いいわねえ。嬉しいわ」嬉しい方へ考えることにした。

「でも随分待たせるわねえ」

まだ十分しか待たないのに。

床に海棠がいけてあった。春山の半折が懸かっていた。残鶯の啼音が聞こえて来た。次の部屋で足音がした。

「いらっしゃったか、やっとのこと」彼女は急いで居住居を直した。だが足音は引っ返した。

「莫迦にしているよ。人違いだわ」彼女はだんだん不機嫌になった。

長いこと待たなければならなかった。女中が茶を淹れて持って来た。

でもとうとうやって来た。弓之助でなくて喜介であった。

「どうもお色さんいけません。昨日お出かけになったまま、今日まだお帰りにならないそうで」

喜介の報告はこうであった。お色は一時に気抜けした。じっと首をうな垂れた。

両国橋の乞食の群