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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《銅銭会事変 短編(どうせんかいじへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 頁
随分居心地よい邸であったよ。で、立ち去るのは厭なのじゃが、そういう勝手も出来ないのでな、今日を限りに立ち退こうと思う。……お前の所へもこれからはだんだん好運が向いて来ようよ。もっとも」
といって貧乏神は例によって気味悪くニタリとしたが、
「時々お目にはかかろうも知れぬ。私はご隣家へ移転すからの」
こういい捨てると貧乏神はクルリと紋太郎へ背を向けた。それからスタスタ歩き出した。
「ははあなるほど貧乏神か。いかさまそういえばあの風態に見覚えがあると思ったよ。絵にある貧乏神そっくりじゃ。父の代から住んでいたと? アッハハハこれももっともだ。父の代から俺の家はだんだん貧乏になったのだからな。何これから運が向くって? ほんとにどうぞそうありたいものだ。……おや!」
とにわかに紋太郎は吃驚したように眼を見張った。
刺青の女賊
それというのは他でもない。貧乏神が消えてなくなり、代わりに美人が現われたからである。
もっと詳しく説明すれば、紋太郎と別れた貧乏神は、街道筋をズンズンと上尾の方へ歩いて行った。ものの半町も行ったであろうか、その時並木の松蔭から一人の女が現われたが、貧乏神と擦れ違ったとたん、貧乏神の姿が消え、一人と見えた女の背後から小粋な男が従いて来た。