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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 頁

青空文庫

「ヘエ――?」

「山はもっと大きいよ、――街道筋で何年越し悪業を積んだ斑組が、盗み溜めた金がそれっきりということはあるまい。尾張様の御用金を狙う前にも、随分悪事を重ねて来たはずだ」

「――」

「それに、お栄は綺麗過ぎた。八五郎さえ夢中にさしたくらいだもの、他でも思いも寄らぬ罪を作っているかも知れない」

「すると親分、この仲間の首領はだれでしょう?」

八五郎は到頭最後の問いを投げ出しました。

「首領はだれ――というのか、困ったことにおれもわからないよ」

「ヘエ、親分にもね」

平次が何んのわだかまりもなくいうのが、八五郎には口惜しくてたまらない様子です。

「お栄の阿魔じゃありませんか。行く先々にあの女がチラつきますよ」

八五郎は顎を撫でたりします。

「とんだ綺麗な女白浪だ――が、それにしても腑に落ちないことがうんとある」

平次はまだ考えているのでしょう。容易に八五郎のカンには乗ってくれません。

「五重の塔で逢ったひょっとこの男じゃありませんか。人をバカにした野郎でしたが――」

「あれは五郎八だよ」

平次は事もなげでした。

「じゃ、何んだって今まで縛らなかったんです。親分ともあろうものが」