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かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
線上閱讀海野 十三《鍵から抜け出した女(かぎからぬけだしたおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,188 字 · 43 頁
目隠しをとってみると、想像していたよりも愕いた。僕は首から下に、美しい女の身体をもっているのだった。乳房は高く盛りあがり、膝もふっくりと張り、なげだした袂の間からは、艶かしい緋の襦袢がチラとのぞいている。――僕は半ば夢ごこちだった。
「さあ、頭を出して下さい」庵主は背後にまわると、僕の頭に布を巻いた。
それから、どこに蔵ってあったのか、匂いの高い白粉を出して来て、僕の顔に塗りはじめた。呆れかえっているうちにそれも終った。
「すこし重いわよ」
そういう声の下に、頭の上からズッシリ重いものが被せられた。そして耳のうしろで、紐がギュッと頭を縛めつけた。
「さあ、出来上った。――まあ貴方、よく似合うのネ。ほんとに惚れ惚れするようないい女になってよ、まあ――」
鏡があれば、ちょっと僕も覗いてみたい衝動に駆られた。それにしても、庵主はなぜこんな艶めかしい衣裳や、それから鬘までも持っているのだろう。彼女はどう見ても唯ものではない。
「ホホホホ。ちょっとここを御覧遊せ。――見えるでしょう? どう気に入って」
ハッと振りむいてみると、庵主は間の襖を指していた。そこを見ると、背のすらりとした高島田の女の影がうつっているのではないか。