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かぎやのつじ
鍵屋の辻
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《鍵屋の辻(かぎやのつじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,524 字 · 25 頁
尤(もっと)も芥川竜之介に云わせると、
「そりゃ君、又右衛門が棒だと知っていたから撲らしておいたのだよ」
と説明するがこれは、氏の機智意外に面白い解釈である。棒位なら時として撲らしておいてもいいというのは武術の心得の一つである。
宮本武蔵の二刀流を伝えた細川家の士(さむらい)に都甲太兵衛(とごうたへえ)と云う人がある。一日(あるひ)街を行くと人が集って騒いでいる。聞くと、
「角力取(すもうとり)らしい男が人を斬って、あの空屋へ逃込んでいるが捕える手段(てだて)が無くて困っている」
と云うのである。
「何か壁を壊す物があるまいか」
と聞くと、杵(きね)をもって来た。太兵衛はそれで壁へ穴をあけると、のそのそと尻から先へ押入っていった。いかさま不思議な入り方である。太兵衛が曲者を捕えて人々に引渡した時に、
「尻から入るは、どうした訳で御座りますか」
と聞くと、
「あいつめ異な事をする奴だわいと、呆んやり見ていたからすぐ捕える事ができたのだ、それに尻なら少々斬られたって大事が無いからな」
と答えた。この尻の逸話(はなし)から推すと、又右衛門の腰も、
「棒なら大事ないからなあ」