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かいかのおっと

開化の良人

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《開化の良人(かいかのおっと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,438 字 · 32 頁

青空文庫

が、三浦は澱みなく言を継いで、『これが僕にとっては、正に第一の打撃だった。僕は彼等の関係を肯定してやる根拠の一半を失ったのだから、勢い、前のような好意のある眼で、彼等の情事を見る事が出来なくなってしまったのだ。これは確か、君が朝鮮から帰って来た頃の事だったろう。あの頃の僕は、いかにして妻の従弟から妻を引き離そうかと云う問題に、毎日頭を悩ましていた。あの男の愛に虚偽はあっても、妻のそれは純粋なのに違いない。――こう信じていた僕は、同時にまた妻自身の幸福のためにも、彼等の関係に交渉する必要があると信じていたのだ。が、彼等は――少くとも妻は、僕のこう云う素振りに感づくと、僕が今まで彼等の関係を知らずにいて、その頃やっと気がついたものだから、嫉妬に駆られ出したとでも解釈してしまったらしい。従って僕の妻は、それ以来僕に対して、敵意のある監視を加え始めた。いや、事によると時々は、君にさえ僕と同様の警戒を施していたかも知れない。』私『そう云えば、いつか君の細君は、書斎で我々が話しているのを立ち聴きをしていた事があった。』三浦『そうだろう、ずいぶんそのくらいな振舞はし兼ねない女だった。