輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かのように
阿部一族・舞姫
線上閱讀森 鴎外《阿部一族・舞姫(かのように)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,875 字 · 141 頁
」
暑い夏も過ぎた。秀麿はお母あ様に、「ベルリンではこんな日にどうしているの」と問われて、暫く頭を傾けていたが、とうとう笑いながら、こう云った。「一番つまらない季節ですね。誰も彼も旅行してしまいます。若い娘なんぞがスウィッツルに行って、高い山に登ります。跡に残っている人は為方がないので、公園内の飲食店で催す演奏会へでも往って、夜なかまで涼みます。だいぶ北極が近くなっている国ですから、そんなにして遊んで帰って、夜なかを過ぎて寝ようとすると、もう窓が明るくなり掛かっています。」
かれこれするうちに秋になった。「ヨオロッパでは寒さが早く来ますから、こんな秋日和の味は味うことが出来ませんね」と、秀麿は云って、お母あ様に対して、ちょっと愉快げな笑顔をして見せる。大抵こんな話をするのは食事の時位で、その外の時間には、秀麿は自分の居間になっている洋室に籠っている。西洋から持って来た書物が多いので、本箱なんぞでは間に合わなくなって、この一間だけ壁に悉く棚を取り附けさせて、それへ一ぱい書物を詰め込んだ。棚の前には薄い緑色の幕を引かせたので、一種の装飾にはなったが、壁がこれまでの倍以上の厚さになったと同じわけだから、室内が余程暗くなって、それと同時に、一間が外より物音の聞えない、しんとした所になってしまった。