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いんえいらいさん

陰翳礼讃

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《陰翳礼讃(いんえいらいさん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,020 字 · 61 頁

青空文庫

老人ばかりがこんな叱言を云うのかと思うと、満更そうでもないとみえて、頃来大阪朝日の天声人語子は、府の役人が箕面公園にドライヴウェーを作ろうとして濫りに森林を伐り開き、山を浅くしてしまうのを嗤っているが、あれを読んで私は聊か意を強うした。奥深い山中の木の下闇をさえ奪ってしまうのは、あまりと云えば心なき業である。この調子だと、奈良でも、京都大阪の郊外でも、名所と云う名所は大衆的になる代りに、だん/\そう云う風にして丸坊主にされるのであろう。が、要するにこれも愚痴の一種で、私にしても今の時勢の有難いことは万々承知しているし、今更何と云ったところで、既に日本が西洋文化の線に沿うて歩み出した以上、老人などは置き去りにして勇往邁進するより外に仕方がないが、でもわれ/\の皮膚の色が変らない限り、われ/\にだけ課せられた損は永久に背負って行くものと覚悟しなければならぬ。尤も私がこう云うことを書いた趣意は、何等かの方面、たとえば文学藝術等にその損を補う道が残されていはしまいかと思うからである。私は、われ/\が既に失いつゝある陰翳の世界を、せめて文学の領域へでも呼び返してみたい。