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ようきなきゃく
陽気な客
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《陽気な客(ようきなきゃく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,086 字 · 46 頁
詩も書いたらしい、が、シング風の一幕物ではかなりな評判をとっていた。「いったい誰が馬鹿だ」という一幕物なんぞおれは今でも忘れることができない、上演したときは劇団が悪かったもんで、ある批評家から「戯作者である」なんという下劣なことを書かれ、酔っぱらってそいつの家へ押しかけていったこともある。……あの頃はみんな純粋だった、金も無いし名もないが、みんな頭には月桂樹の冠をかぶっていたからね。きみなんぞとは違うんだ、きみなんぞは。……飲め周五郎、くよくよするな。
――おれの頭には学問はない、が、詩が詰っている。天青はよくこう云っていた、右手の指で額をこつこつ叩きながら、こんなふうに眼をすぼめてさ、……詩が詰ってる。そしてどこかへめりこんでしまった。うん、消えちまったのさね、詩のいっぱい詰った頭を持ってさ。……世間には生きてるうちはわいわい騒がれて、死ぬととたんに忘れられちまう人間がある。また生きてるうちは眼立たないで死ぬと急に偉くなる奴もあるさ。……彼はそのどっちでもないがね、と云うことはつまり彼は仲井天青だったわけさ。
――だがおれはその頃はまだ彼を直接には知らなかった。