輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
線上閱讀壺井 栄《雑居家族(ざっきょかぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 頁
彼はじっと天井をみていた。だれが帰ってきたって、ものなんかいってやるものかと考えた。どのくらいかそうしているうちに、だれもいない家の中が急にさびしくなって、すっくと起きあがった。二階へかけ上ってみた。もちろん冬太郎はいなかった。彼はゆっくりと階段をおりながら、しくしくと泣き出し、口の中で、「おかあちゃーん」とよんでいた。すると、そのつぶやきにも似た泣き声にこたえるかのように、
「どうしたい、夏樹ちゃん。」
兵六さんである。
兵六さんは庭の木戸からはいってきたらしく、地下たびで縁先に立っていた。左手にビニールのふろ敷包みをもち、ごたごたと中のものがすけて見えていた。
「ね、どうしたい、夏樹ちゃん。」
だれもいないとみてとったらしく、のびのびしたもののいい方であった。そんな兵六さんを、みたことがなかったと、夏樹は子供心に思った。いつだってぺこぺこしていた兵六さんなのに、今日はそのいでたちまで元気がよい。なきべそを見つけられててれかくしにむくれている夏樹に、
「おかあちゃんは?」
「いない。」
「おねえちゃんもかい。」
「…………」
「進君も、おにいちゃんも、だれもいないのかい。