輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《雨瀟瀟・雪解 他七篇(あめしょうしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,414 字 · 289 頁
やや太く低いけれども極めて力のある音頭取の声と、それにつづいて大勢の中にもとりわけ一人二人思うさま甲高な若い美しい声の打交った木遣の唄は、折からの穏な秋の日に対して、これぞ正しく大江戸の動かぬ富を作り上げた町人の豪奢と弓矢はもう用をなさぬ太平の世の喜びとを、江戸中の町々へ歌い聞かせるような心持がするのである。
種彦は唯どんよりした初秋の薄曇り、この勇しい木遣の声に心を取られながらぞろぞろと歩いている町の人々と相前後して、駒形から並木の通りを雷門の方へと歩いて行く中、何時ともなしに我もまた路行く人と同じように、二百余年の泰平に撫育まれた安楽な逸民であるといわぬばかり、知らず知らずいかにも長閑な心になってしまうのであった。今更ことごとしく時勢の非なるを憂いたとて何になろう。天下の事は微禄な我々風情がとやかく思ったとて何の足にもなろうはずはない。お上にはそれぞれお歴々の方々がおられるではないか。われわれは唯その御支配の下に治る御世の楽しさを歌にも唄い絵にも写していつ暮れるとも知れぬ長き日を、われ人共に夢の如く送り過すのがせめてもの御奉公ではあるまいか。