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あめ

雨

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《雨(あめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,261 字 · 44 頁

青空文庫

ここでおどおどしては俺もお終いだと思うと、眼の前がカッと血色に燃えて、

「用って何もありません。ただ歩いているだけです」

呶鳴るように言うと、紀代子もぐっと胸に来て、

「うろうろしないで早く帰りなさい」

その調子を撥ね飛ばすように豹一は、

「勝手なお世話です」

「子供のくせに……」

と言いかけたが、巧い言葉が出ないので、紀代子は、

「教護聯盟にいいますよ」

と、近ごろ校外の中等学生を取締っている役人を持ちだした。

「いいなさい」

「強情ね、いったい何の用」

「用はない言うてまんがな。分らん人やな」

大阪弁が出たので、紀代子はちらと微笑し、

「用がないのに踉けるのん不良やわ。もう踉けんときでね。学校どこ?」

「帽子見れば分りまっしゃろ」

「あんたとこの校長さん知ってるわ」

「いいつけたらよろしいがな」

「いいつけるよ。本当に知ってんねんし。柴田さんいう人でしょう」

「スッポンいう渾名や」

いつの間にか並んで歩きだしていた。家の近くまで来ると、紀代子は、

「さいなら。今度踉けたら承知せえへんし」

まず成功だったといえるはずだのに、別れぎわの紀代子の命令的な調子にたたきつけられて、失敗だと思った。