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あめ
雨
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《雨(あめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,261 字 · 44 頁
その夜は千日前の安宿に泊った。朝、もう新聞社へ行く気もしなかった。毎日就職口を探して歩いたが、家出した男を雇ってくれるところもなかった。月給袋のなかの金が唯一の所持金だったが、だんだんにそれもなくなって行った。半分は捨鉢な気持で新聞広告で見た霞町のガレーヂへ行き、円タク助手に雇われた。ここでは学歴なども訊かれず、かえってさばさばした気持だった。しかし、一日に十三時間も乗り廻すので、時々目が眩んだ。ある日、手を挙げていた客の姿に気づかなかったと、運転手に撲られた。翌日、その運転手が通いつめていた新世界の「バー紅雀」の女給品子は豹一のものになった。むろん接吻はしたが、しかしそれだけに止まった。それ以上女の体に近づけない豹一を品子は狂わしくあわれんだが、しかし、豹一は遠くで鳴っている支那そば屋のチャルメラの音に思いがけず母親の想出にそそられて、歪んだ顔で品子に抗った。
運転手に虐待されても相変らず働いていたのは品子をものにしたという勝利感からであったが、ある夜更け客を送って飛田遊廓の××楼まで行くと、運転手は、
「どや、遊んで行こうか。ここは飛田一の家やぜ」