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あめ

雨

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《雨(あめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,261 字 · 44 頁

青空文庫

母親の愛情だけで支えられて生きているのは、何か生の義務に反くと思うのだった。妓に裏切られた時に完膚なきまでに傷ついた自尊心の悩みに駆りたてられていた。熱が七度五分ぐらいまでに下ると、いきなり寝床を飛びだし、お君の止めるのもきかず、外へ出た。谷町九丁目の坂道を降りて千日前へ出た。珍しく霧の深い夜で、盛り場の灯が空に赤く染まっていた。千日前から法善寺境内にはいると、そこはまるで地面がずり落ちたような薄暗さで、献納提灯や灯明の明りが寝呆けたように揺れていた。境内を出ると、貸席が軒を並べている芝居裏の横丁だった。何か胸に痛いような薄暗さと思われた。前方に光が眩しく横に流れていて、戎橋筋だった。その光の流れはこちらへも向うの横丁へも流れて行かず、筧を流れる水がそのまま氷結してしまったように見えた。何か暗澹とした気持で、光を避けて引きかえしたが、また明るい通りに出た。道頓堀筋だった。大きなキャバレエーの前を通ると、いきなり、アジャーアジャーとわけのわからぬ唄歌、とたんに打楽器とマラカスがチャイナルンバを奏しだしたのが腹立たしく耳にはいった。軽薄なテンポに、××楼の広間でイヴニングを着て客と踊っていた妓の肢態を想いだした。